【論文メモ】「セルフコントロールが得意」とはどういうことなのか 「葛藤解決が得意」と「目標達成が得意」に分けた概念整理
http://usprepo.office.usp.ac.jp/dspace/bitstream/11355/635/1/nbg_Goto_202008.pdf
■所感
- セルフコントロールの論文いくつか読んだ中で全体の流れがわかりやすかった
- セルフコントロールは学習と習慣化によって強化学習されるのは嬉しい事実
- そのプロセスを言語化- モデル化し腹落ちしたことで、セルフコントロールを実行に移しやすくなることが期待できる
- 4.4の自己決定論の4つの調整段階は開発- QAなどロールの異なるもの同士で納得感をもって協業できているかのレベルの説明になる
■メモ
1. 自己制御ループは意識的に取り入れよう
2.1 セルフコントロールの定義
2.3 特性セルフコントロール尺度。脳の内部的な働きではなく、大衆のヒアリングにより導き出したものだという理解
3. 脳の各部位の神経反応から、認知機能と価値表象について語る
3.1 認知機能は、目標の保持と、遂行の妨げとなる反応の検知と抑制
3.2 価値表象は、快や利得に反応、長期的な価値を低く見積もってしまう。(適切に見積もらない場合あり
- 認知と価値表象は相互に作用している。両者のバランスが大事とあるが、価値表象の部位が劣勢で困るような記述はなし
4.1.実は、特性セルフコントロール尺度と、脳の各部位から観察した認知機能- 価値表象の働きは一致しないことがわかった
4.2, (4,1から)特性セルフコントロール尺度と、習慣との関連はあることが示唆される
- 習慣がないと自我枯渇やセルフライセンシングによる心理的な消耗により、長期的には目標達成を阻害する(4.1の理由)
- 習慣により自我枯渇を回避しているため、セルフコントロールが高い状態にある(4.2の理由)
4.3 経験を通じて、葛藤せずに行動できる習慣化を身に着けることができる
- 目標があり誘惑と紐づけて考えることで、誘惑の価値づけが低下する。①に関係しそう。
①目標志向:行動とその結果を予見し、好ましい結果を得る手段を表象し、遂行する
②行動志向:行動とその結果の連合は、過去の経験と通じて構成された連合関係の知識によって自動的に表象される
③何が好ましいか不明確であれば、①が最初は優勢だが、②が次第に優勢になる。
4-4.外発的動機付けの内在化
- 外発的動機を自律的なものとして昇華できるかが、セルフコントロール時の自我枯渇の程度や葛藤頻度に影響する
- 「したい」なのか「しなければならない」かで誘惑の感じやすさが違う
- 後悔は、過去の経験を想像したネガティブ感情から、選択肢を更新する機能を持つ(※この感覚はないかも)
■参考 後藤崇志(2020)「「セルフコントロールが得意」とはどういうことなのか「葛藤解決が得意」と「目標達成が得意」に分けた概念整理」pp.129-144 心理学評論刊行会